このバイクは、2017年にチームSKY(当時)のフルームがツール・ド・フランスを制した時の、マイヨ・ジョーヌカラーのスペシャルDOGMAです。
フレームの黄色と、ホイールやコンポーネントの黒、このシンプルで鮮やかな二色のコントラスト。当時このバイクを見て、格好よすぎる……と感動しました。
さらにこの写真のバイクには、もう一つ好きなポイントがあります。
それはシートポストです。DOGMAやGANシリーズのシートポストは通常、写真の赤丸の部分のように後ろにオフセットされています。しかしフルームのバイクのポストはストレートの形状になっています。見比べてみてください。見た目的には絶対ストレートの方が格好いいと思います。しかもフルームのバイクは明らかにサドルが前下がりになっていて、この「自分、前乗りなんで」という武骨なメッセージにもしびれます。
こんな格好いいバイクなのですが、気になる点が一つだけあります。それはフレームに入った水色と黒のラインです。これが無く、ベタッと黄色一色で塗られていたら、もう完璧なのにと感じていました。
本家イタリアのPINARELLOサイトでは、MyWayカラーオーダーシステムのページがあり、そこでは自由にバイクの色を設定して画像に書き出すことができます。
そこで、上記のスペシャルDOGMAの水色と黒のラインがないバージョンを作ったりして、日夜想像を膨らませていました。
これが当時、自分で作ったものです。電子ファイルはもう残っていなくて、プリントアウトしたものをスキャンしました。
そんなある日、大変なことに気づきます。MyWayカラーオーダーシステムでは、シートポストをオフセットかストレートか、選ぶことができるというのです。
……これは、理想のバイクを作ることができるチャンスです。当時大口の仕事が入ったこともあり、強気になっていた私は注文を決意しました。
Y'sロードからMyWayカラーオーダーシステムの注文ができたので、上記のプリントアウトを握りしめ、お店に行きました。そしてその時点で店員さんに言われたのですが、納期は3~4ヶ月かかるとのことでした。
そして4ヶ月後、注文したことを忘れた頃に笑、Y'sロードから「フレームが届きましたよ」と連絡がきました。丁寧に写真も送ってくれました。
「おぉ!格好いい!!シートポストもちゃんとストレートになってる!!!」と思ったのですが、一方で「ん?ちょっと黄色が違くない?レモンイエローじゃね?」とも感じました。「まぁ、写真だから色味が変わっているのだろう……」と、焦る自分を無理やり納得させていました。
上の紙のスキャンを見てもらえば分かると思うのですが、もうちょっとオレンジがかった黄色をずっとイメージしていました。モニターで見た時も、このややオレンジがかった黄色になっていましたし。
そしてさらに一週間ほど経って、組み上がったバイクの写真を送っていただきました。
この写真を見て確信しました。「これ絶対にレモンイエローじゃん!!」
そして次にこう思いました。
「マヴィックのニュートラルバイクじゃん!!」
正直最初はがっかりしました。しかしこれはY'sロードの落ち度ではありません。MyWayカラーオーダーシステムでも黄色は「Solid Yellow Sun」一種類しかなかったので、最初からこの色だったのでしょう。つまり、実際の色味とPCで見た時の色味を合わせる気なんてない、イタリア人の大らかな感じが出てしまったということですね。
そして私はこう思いました。「これはこれでよし!!!」
大らかな国の人たちの大らかな仕事に対しては、こちらも大らかになることで対応します。
スペシャルDOGMAのイエローより軽快な感じがするこのレモンイエローは、よりレーシーな感じがします。今はもう怒りも不満もなく、この色が気に入っています。
次にフレームを買い替える時が来たら、もうちょっとオレンジがかったイエローにしますが、ね。